2004/04/27
[語り部]
……あんた、私に何か用かい？
ん……いや別に用がなければ
話しかけるな、なんて野暮なことは
言わないよ……。
……まぁ、いいかそんなことは。
あんた冒険者だろう。
旅をしていて気づかないかい？
今、この世界では確かに何かが
起こっている。
例えば、そう……少し前の事だが、
首都プロンテラにモンスターが出現する
騒ぎがあった。その後、地下水路の
あちこちで黄金に輝く蟲が目撃された。
水路の奥の闇の中に、仮面を付けた
女の姿を見たという噂もある。
この不可思議な出来事は、
当初、首都プロンテラ付近でのみ
発生していると思ったよ。
でも、違った……。
他の場所で起きたのさ。
ゲフェンの地下ダンジョン………。
あそこはもともと多くの
モンスターがいるけど、
いつにも増して、モンスターが
大量に出現したって話を聞いた。
ゲフェンダンジョンの更に奥、
ゲフェニアダンジョンでも
同じ様な事が起こったそうだ。
私たちが判断する、ありえる、
ありえないなんてたかがしれている
けれど……この世界に普段
ありえない事が起きる。そこには
必ず因果関係があるはずなんだ。
なぁ、あんたはどうだい？
この世界で何かが起きている……
それをあんたは今、実感しているかい？
- なんとなく……
……そうかい。
その感覚は大切にした方がいいよ。
理由はなくても、自分の勘ってのは
信じるに足る。
これから何が起こるか……。
誰にもわからないからね……
- まったく感じないな
……ふん。
楽観的というか、無頓着なのか……
まぁ、あんたがそう思うなら、
それでいいのかもしれない。
- ……分からないよ
……そうだね。
実際に自分の目で見て、体で感じた
としても、判断は思考の元に行われる。
私がおかしいと思っていても、
他の人にとってはおかしくない事
だってある……。
（R.O.M 776より）
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