2004/05/11
[語り部]
……やあ、あんたか。
ん？なんだい、妙な表情をしているね。
……あんた、私に会ったことあるよな？
……まぁ、いいんだそんなことは。
ところで……あんた、
あの森に入ったことがあるかい？
ほら、昔から多くの人が入ったきり
出てこないあの森だよ……
首都プロンテラの北にある迷宮の森さ。
あの森の主は、そう……
なんだ、さすがに言わなくても
知っているようだね。
その主について妙な話を聞いたのさ……
何故か、迷宮の森の中で唯一開けた
場所、川の辺りに現れたってね……
本来、あいつは森の奥地にいるはず
なのにさ。しかもそれだけじゃない……
以前、プロンテラ地下水路の最深部で、
謎の仮面を付けた女を見たって話を
聞いたんだが……同じ様な格好の女が、
森の主が現れたその場にいたって
話だよ。
ひょっとして、あいつは森から出てくる
つもりなのかな……だけど、あの誇り
高き森の主が一体なんだって……
……謎の仮面の女が関係しているの
だろうか……
とにかく……私達には、到底
理解し得ない何かが起きているんだ。
あんたも気をつけたほうがいい……
その首……むやみに近づけば、いつ鎌で
切り落とされるかわからないからね……
ところで……例えばだよ。
迷宮の森に入ったきりで死んだ
と思っていた人間が生きていた……
そんな話を聞いたら、あんたは
どう思う？
- そんな事あるわけがない
……そうだね。当然の答えさ。
あの森で、たった一人きりの状態で生き
延びるなんて、全く信憑性のない話……
ただ……物事を語る時、
否定は肯定より不確定なんだよ……
- 自分の目で確かめに行く
……なるほどね。
確かに、死んだと「思っていた」
だけだとすれば……生きている
可能性を信じることもできる。
だけど、あの森では……
- なんとも思わないな
……本当に？
それが嘘か真か……
少しも気にならないって言うのかい？
あんた、自分のこと以外は
気にならないって口かい？
（R.O.M 776より）
先週の語り部 / 来週の語り部
![[PukiWiki]](image/pukiwiki.png "[PukiWiki]")
