2004/07/27
[語り部]
……やあ、あんたかい。
ん、どうしたんだい？
ずいぶんとご機嫌じゃないか。
……まぁ、いいんだそんなことは。
あんた……
｢魂｣の存在を信じるかい？
……なんだい、そんな目で見て。
私は真面目に話しているんだよ。
フェイヨンの洞窟は昔から、
浮かばれない霊たちが彷徨い
続けていると言われている。
この間は、いつにも増して
そんな霊たちの悲愴な叫びが
聞こえてきたそうだよ。
彼らはいったい何故、未だにこの世を
彷徨い続けているのか……？
魂……
たとえば誰かが志半ばで倒れた時、
その遺志を誰かが受け継いで
代わりに成し遂げるといった事がある。
……けれど誰も遺志を継いで
くれなかった時、その想いは
一体どうなってしまうのか？
消えてなくなってしまうのだろうか……
それとも、想いだけ残る事があるの
だろうか……
私は、果たされなかった強い想いは
この世に残り続けると思うんだよ。
それが魂と呼ばれるものではないかな。
なぁ、あんた。
あんたには、｢魂｣があるかい？
たとえ肉体が滅びても
残り続けるほどの強い志。
魂が……
- もちろんある
……フフフ、そう。
どうしても伝えたい、残したい
何かがあるんだね。
それはあんたがこの世界に
生きた証として、永遠に
残り続けるのだろうか……
- 無いと思う
……そうかい。
ならば肉体がその役目を終えた時……
あんたという存在は綺麗さっぱり
消えてなくなってしまう……
あんたはいったい何のために
生まれてきて、生きているのか
考えたことがあるかい？
- わからない……
フフ……そうだね。
魂なんてものはあいまいな
存在だからね……
ただ、あんたが何か強い意志を
持っているのなら、それは
あんたの魂と言えるだろう……
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