2004/08/24
[語り部]
……やあ、あんたかい。
冒険者達の動きが
慌しくなってきたようだが……
……まぁ、いいんだそんなことは。
そういえば、例のごとく
また騒ぎがあったそうだよ。
今度はファロス燈台島でね。
……騒ぎの原因はそれかい？
……まるで異変が静かに海を
渡ってきているかのようだ……
ココモビーチ近辺もいつもと様子が
違うという話を聞いたよ。
正体はわからないが、
だんだんとこちらの方に
良くない流れみたいなものが
近づいてきている気がして
ならないよ。
……前から感じていたんだ。
私は何故か、大勢の人間に
睨まれているような感覚を覚える。
もちろんこの周辺にいる
人間の数なんてたかがしれている。
でもね、本当に大勢の思念みたいな
ものを感じるんだよ。
それがどこから
私に向けられているのか……
思うに、その場所は別の世界
なんじゃないだろうか。
別の世界の住人が存在しており
この世界の私のことを
何故か知っている……
それが、ここで起きている異変に
関係がありそうな気がする。
あんたもこういう事はないかい？
周りに誰もいないはずなのに、
誰かに見られている感じがする事……
- ある
……そう。
大体は気のせいなんだけどね。
どうも、この感覚は質が違うような
気がするのさ。
例えば、私の存在が他の世界に
情報として伝わっている……
つまり、今ここで私と
面と向かって話をせずとも
私を認知できるとしたら……
……別の世界から
私の知らない誰かがね。
そして、それを私は感じている……
- ない
……そうかい。
それならいいんだよ。
ないならね。
だが、気づいていない
だけだとすると……
自分の知らないどこかから
自分の事を見ている者がいる……
そして、見ているだけではなく
こちらに影響を及ぼすことが
可能だとしたら……
恐ろしいと思わないかい？
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