**2004/09/28
[語り部]~
……~
……あんた~
自分が何者かって事を~
考えた事があるかい?~
~
何の為に生まれてきたなんて~
些細なことじゃない……~
……もっと根源的な~
自分って存在が「何」なのか~
探ってみたことはある?~
~
……~
一つ昔話をしよう……~
このコモドに封印されている~
魔女の話を聞いた事があるかい?~
~
この洞窟には邪悪な魔女が住んでいた。~
闇の呪術や黒魔術を駆使して~
世界征服をたくらむ女魔術師。~
彼女は世界各地を炎に包み~
厄災をもらたした……~
~
だが、この地を訪れた勇敢な~
戦士四人との戦いにおいて、~
一人の戦士の運命と引き換えに~
この地に封印されたと言う……~
~
現在もコモドには魔女の~
魔力が残っており、~
その封印を維持するには~
強い魔力が必要らしいが……~
今のところコモドの魔女は、~
封印された後には姿を現していない。~
~
……~
どうだい、聞いたことあるかい?~
このコモドに伝わるお話だよ。~
実際にあった話らしいけど……~
~
この話が伝わるこの世界は~
今、もう一つの世界から強い影響を~
受けている……その力によって~
各地で様々な異変が発生してきた。~
この世界と、もう一つの世界には~
つながりがあるんだ……~
~
つながりがあると言うよりは~
起源が同じ、と言うべきかな。~
二つの世界は違うように見えても~
元は同じ世界……~
違うのは世界を流れた過程と~
もたらされた結果……~
~
この世界ではコモドの魔女は~
封印されている……~
しかし、この世界に干渉してきた~
もう一つの世界ではコモドの魔女は~
封印されていなかった……~
~
もう一つの世界では魔女は~
今も力を持ち、世界を征服する為、~
あるいは世界を滅ぼそうと~
各地を火の海に沈めている……~
~
その影響でこの世界には~
異変が起こっていたのだろう。~
そして、もう一つの世界の魔女の力は~
各地に発生してきた異変と共に~
私に注がれてきた……~
~
私はこの体にみなぎる力を~
自らのものであると思っていた……~
異変が起きる度に少しずつ~
何かに備えるように蓄えられていく~
この力に何の疑問も持たなかった……~
~
あの時見えた……~
このコモドがモンスターで溢れ、~
炎に包まれる姿……~
全ての思念がグラストヘイムに~
集まっていく姿……~
全て私の夢だと思っていた……~
~
だが、力を得るうちに気付いたのさ。~
あれは夢でなく受け取った~
思念だった……~
そして……~
私が何者であるのか……~
……私は……~
~
この地に封印されている魔女。~
この体は私そのものではなく~
封印された私の力……~
魔女の力を受ける為のモノ。~
だからこそ、この世界に生まれた時~
私には何もなかった……~
~
そして……あと少しだった……~
……もう少し力を受け続けることが~
できれば、私は復活する事ができた。~
……この地に私を縛る戒めを解き、~
再びこの世界を自由に操ることができる~
本来の力を取り戻す事ができたのに……~
~
思い出させられたよ……~
取るに足らない存在だと軽視していた~
人間によって、私は封印されて~
しまったんだということを……~
そして、また……~
人間に阻まれてしまったようだ……~
~
この世界の各地に発生した様々な~
異変は、ことごとく冒険者達によって~
鎮圧されてしまった……~
だが、それでも少しずつ力を~
蓄えることができていた……~
~
……力を得て、全てを知り、覚醒し、~
復活する準備を整え~
「よりしろ」となるこの体に~
「私」を移すだけで全てが終わり、~
そして始まるはずだったのに……~
~
……もう一つの世界からの~
この世界への干渉は~
大きくなりすぎてしまった。~
その為、この世界の影響を~
もう一つの世界も強く受けてしまう~
流れが形成された……~
~
この世界における異変の鎮圧が~
もう一つの世界へ影響を与え~
干渉を抑止する事となり……~
二つの世界は切り離されて~
しまった……~
~
……もはや別の世界からの~
影響を受けることもなく、~
力を得ることもできない……~
……私は消える。~
もはやこの体だけでは蓄えられた力に~
耐える事ができないだろう……~
~
あんたと話している私は消える……~
だが、それは私を生み出したものが~
消えてしまうということではない。~
「私」はまた待つことにしよう。~
その時が来るのを待って……~
~
この世界に異変が起き始め、~
私が生み出されてからの~
これまでの間……~
長いようで短かったが~
それでもあんたと話せてよかったよ。~
~
この世界は干渉を受けることも無くなり~
間もなく異変は無くなる……~
だけど、この世界以外の全てが~
無くなるわけじゃない。~
~
いつか……~
また新しい別の世界が~
この世界に影響を与えることも~
あるだろう……~
そうすれば私もまた~
復活するかもしれない……~
~
その私が……~
今の私と同一とは限らないけど~
少なくとも今の私は、その時も~
またあんたと話したいと思うよ。~
それまでサヨナラだ……~
~
~
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